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あじろ けい

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【雑記】2015年抱負

明けましておめでとうございます。

1日はネットもせず、1日中、食っちゃ寝してました。初夢は悪夢ばかり三本立てでした。

さて、2015年抱負。

1.恋愛ものを公開する
去年書いたもの2本を公開する予定。

2.ミステリーを書く
少なくとも1作品は仕上げたい。

3.短編
構想だけはあって、あとは書くだけ。

4.童話
以前公開していた作品の改稿作業+男子主人公のもの。

5.ショートショート
できたらってことで。

6.ファンタジー
和風ファンタジー。構想はある。

7.罪喰いを完結
データ化、がんばれ。

8.詩
お、おう。がんばって書いてみる。

半分も達成できたらいいかな。半年後にまた見直します。

年間の目標立て、見直し、振り返り。ブログを読んでいる人には何のこっちゃの記事でしょうが、書いてる本人にしたら結構役に立ってます。

目標たてないとぼーっとしているうちにあっという間に1年なんか過ぎてしまいますから。目標たてても、明文化しておかないと忘れるから、記事にしておくと、ああ、年頭にこんなことをしようと考えていたのねと思い出せます。

半年もすると、目標と現実とにずれが生じてくるので、見直すのにはいい時期。

全部達成できなくても、やりたいなと考えたうちの1つでも達成できれば、年末には達成感が味わえます。
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テーマ:物書きのひとりごと
ジャンル:小説・文学

【雑記】確率

天気予報の降水確率。

10パーセントや20パーセント程度なら、雨対策などしません。

降らないだろうし、実際、降られたためしもなかった。

2014年12月までは!

12月に入って、一週間おきに天気がくずれ、クリスマス過ぎたころから毎日のように豪雨が降るようになりました。年開けても状況変わらず。

そんな状況なので、天気予報は毎日チェック。洗濯物がたまってしょうがないので、降水確率10パー程度なら降らないだろうとおもって、洗濯する。

豪雨襲来。

天気予報あてにならん!

しかし、あてにするものが天気予報しかない!

なぜなら、私が住んでいるところは、天気が変わりやすいと言われる山地なので、朝はピーカンに晴れていても、突然天気が変わる。

それはそれは、女心かってくらいに変わる。ころっと変わる。予測不可能。

だからこそ、プロの天気予報を頼りにしてるのに。

でも、降水確率ゼロじゃないといっているのだから、当たったことになるのか。。

受賞の確率10パーセントって言われたのに、受賞しちった!とかなら、すごく嬉しいんだけどね。

テーマ:物書きのひとりごと
ジャンル:小説・文学

【雑記】タキシードっていいよね

最近のお気に入り。



サム・スミス「ライク・アイ・キャン」

歌は言うことなし、モノクロのNYの映像がきれいなのでお気に入りの一曲。タキシード姿も

タキシード姿とかスーツ姿って萌える(笑)

あ、和服もね。

要するに、かちっとした格好が好きなんだな。軍服とか制服とか。

制服やスーツをわざと着崩している若い子がいるけど、かっこいいと思っているのは自分だけだよ。

反抗や反発したい気持ちはわかるけど、外見じゃなくて、中身で勝負しな。

中身が個性的な人は、見かけは普通でも光って見えるもんだよ。←ってことが分からないのが若者なんだよね(苦笑)

スーツつながりで。

GQ誌が選ぶ男性ベストドレッサーが発表されました。

第1位 エディ・レッドメイン

第2位 ベネディクト・カンバーバッチ

第3位 ジェイミー・ドーナン

第4位 アレックス・ターナー

第5位 ニック・グリムショー

第6位 イドリス・エルバ

第7位 チャールズ皇太子

第8位 ダグラス・ブース

第9位 デヴィッド・ギャンディ

第10位 デヴィッド・ファーニッシュ

1位から3位まで、どんぴしゃ好みの人たち(笑)……でも全員結婚したばかりか、予約済みばっかし・・
1位のエディ・レッドメインは、映画「博士と士と彼女のセオリー」がらみだろうな。
ダニエル・クレイグが007シリーズを始めた時もたしか、ベストドレッサーに選ばれていたっけ。
宣伝がらみだけど、ふたりとも素敵なことは間違いなし。
ちなみに、エディ・レッドメインはイートン校出身。腐女子が萌えますが、既婚です、残念!

2位のベネディクト・カンバーバッチは、「シャーロック」でブレイクしたので説明いらないかな。「スタートレック」よかったわ。彼は悪役とかくせのある役をやらせるとすごく光る。

3位のジェイミー・ドーナンは「フィフティー・シェイズ・オブ・グレイ」で主役のクリスチャン・グレイを演じてます。公開はバレンタインデー。日本はクリスマスが性夜ですが、欧米はバレンタインデーが性夜(笑)
元モデルだけあって、もう……(略)
彼のアイリッシュなまり、(聞き取れないけど)かわいいです。

そして6位にイドリス・エルバが!
GQ編集部、私と趣味一緒だね!
ダニエル・クレイグの後を引き継いで007を演じるのではないかなんて噂されてましたが、どうなったのかな?

7位のチャールズ皇太子は……ああそうですか、としか言い様がない(笑)
スーツのお国の皇太子ってことで。
それにしても、ウィリアム王子の結婚式でのロイヤル男子たちの正装姿は素敵だった。フィリップ殿下でさえも素敵に見えたんだから、おそるべし、制服効果。

サム・スミスもきっとかちっとした格好のメンズが好きなのに違いない!(力技でサム・スミスに戻ったぞ)

新恋人はこのMVの撮影で共演して知り合ったそうです。

お幸せに

テーマ:物書きのひとりごと
ジャンル:小説・文学

あらすじ

ダメンズウォーカーの親友・長谷川彩花にかわって男選びをすることになってしまった立木桃子。付き合っても大丈夫な相手かどうか見極めてほしいと彩花に頼まれた男は、桃子が秘かに思いを寄せ続けてきた会社の先輩・佐野貴一だった。

なのなのな

テーマ:オリジナル小説
ジャンル:小説・文学

なのなのな 1-1

 いつもと同じ形で彩花とは別れるはずだった。
 いつもと同じ店、「オステリア」の角ばったカウンター席。カウンターには飲みかけのカンパリオレンジとファジーネーブル。
 グラスの縁をもてあそびながら彩花が化粧が崩れるほど泣きながら男の話をする。ファジーネーブルを飲みながら桃子は彩花の話に耳を傾ける。
 彩花はいわゆるダメンズウォーカーだ。どこで探してくるのか、浮気はする、借金は踏み倒す、暴力を振るう、そんな最低男とばかり付き合っている。普通ならそんな男たちは願い下げだというのに、彩花は捨てられた口惜しさを嘆く。
「だから言ったじゃん。あんな男、やめておきなって」
 彩花が男についてのあれやこれやを散々ぶちまけた後、頃合いをみて桃子は言う。一字一句、毎回同じ、おなじみのセリフ。これが出るとエンディングは近い。
 とたんに彩花は泣き崩れ、桃子の説教が始まる。
 それがいつものパターンだった。数か月に一度の頻度で繰り返される、後悔と説教のカップリング。ひとしきり泣いた後、トイレで化粧を直した彩花は決まって言う。
「もう恋なんてしない」。
 もう一つのおなじみのセリフ。カッコシー彩花。何度も聞いてきたセリフを聞き流し、桃子は彩花と別れる。
 そうなるはずだった。
 どこで、後悔と説教のインフィニティの輪に切れ目が入ったのだろう。その夜を境に、桃子は異次元に放り出されてしまった。

「だから言ったじゃん。あんな男、やめておきなって」
 氷が溶けてすっかり味の薄くなったファジーネーブルで唇を潤し、桃子はおなじみのセリフをはいた。ちらりと腕時計に目をやる。十時半。ここからは攻守交替、聞き役から説教役に転じる。
「三十過ぎてアルバイトしか経験したことがないって、ダメ男のフラグが立ってるじゃないの。なんでわかんないのかが、逆にわかんない」
「アルバイトでも仕事したことあるだけ、マシだもん」
 彩花はふっくらとした唇を尖らせた。
「就職難の時代だから、アルバイトしかしてこなかった人だっているでしょ。それに、彼は作家になりたいから敢えていろんなバイトして人生経験積んでいるんだって言ってたもん。そうすることで作品にリアリティーが出るんだって」
「あえて、ねえ。でも、作家志望って言っても何も書いてなかったんでしょ。彩花の部屋に転がり込んで一緒に住むようになってからはバイトも辞めて、一日パチンコしてたらしいじゃない。プロの作家になるにはとにかく本を出版しなくちゃならない。とりあえず自費で出すからそのための金を貸してくれって言われてさ。結局、いくら貸したの?」
「んと……合計で百万くらいかな」
「大金じゃないの! 自費出版の話、結局嘘だったんでしょ。お金は全部パチンコに使っちゃったんだよね」
「パチンコしているといいアイデアが浮かぶんだって言ってた」
 嘘までつかれた挙句に金をむしろとられた当人の彩花は他人事のようにそう言ってニヘラと笑った。
「騙されたの! 作家志望なんて話も嘘。最初から彩花のお金と体が目当てだったんだって」
「そうかなあ」
 モヘアのセーターの袖口から彩花の小さな手が出たり入ったりを繰り返している。オレンジイエローのゆったりしたセーターの上からでも、彩花の豊満な体つきが見てとれる。カウンター席はもとよりテーブル席の男性客の視線は彩花の盛り上がった胸元と白のミニスカートからのぞくむっちりとしたふとももとの間を行ったり来たりしている。
 小動物のような愛くるしさと肉感的なものが同居する自分の女としての魅力に彩花はムトンチャクだ。真冬でも彩花はミニスカートをはく。厚着をしていてもそれとなくわかる体の線は薄着の季節、夏になると露骨になる。彩花の服装に対するTPOはまるでなっていない。一度、ホットパンツを履いてきたことがあって、社内は騒然となった。
 職場は仕事をする場所、男の注目を浴びる場所ではない。そう考える桃子はパンツスーツに身をつつみ、胸元はおろか、足すら出したことがない。何を考えて仕事場に着てくる服を選んでいるのかと彩花に呆れていたが、よく知り合ってみると彩花が何も考えていないということがわかった。
 桃子と彩花は、文房具メーカーに勤めている。同期入社で勤続六年目、ともに二十九歳。デザイナーの彩花はキャラクターグッズのデザインを手がけ、商品企画開発に携わる桃子が彼女と知り合ったのは、入社してまだ日も浅い頃、桃子がキャラクターグッズの担当をしていた時だった。
 彩花は彼女がデザインするキャラクターそのものだった。子どもから女子高生までを対象とするキャラクターたちはみな、フワフワとしてマルマルとして、思わず抱きしめたくなる可愛らしさだ。それが彩花だ。彩花は根っからかわいいものが好きで、フワフワ、フリフリ、ヒラヒラの服を着ているに過ぎない。
 何も考えていない――男の気を引こうなどという意図は彩花にはまったくない。だが、本人の意図とはまったく関係のないところで、ベビーフェイスと大人の肉体の組み合わせは男たちの注目の的となった。
 女性社員からは冷ややかな視線を浴びせられ、男性社員からは軽い女のように見られ、彩花の社内での評価は低かった。彩花が営業に色仕掛けをしたから、彼女のデザインするキャラクターは売れたんだという根も葉もない噂もたったりした。
 それが桃子の気に障った。可愛い女がかわいい格好していて何が悪い。一緒に仕事をし、彩花のデザイナーとしての力量を知る桃子はそれから彩花の味方になった。
 今では仕事の悩みを打ち明けたり、恋の話もする。といっても、恋の話をするのは彩花だけで、桃子は一方的に聞くばかりだ。
 とにかく彩花はもてる。男の途絶えたことがない。男好きのする外見に、ひとなつっこい性格だから、男の方から寄ってくる。しかし、その男たちが問題だった。彩花は絶望的なまでに男を見る目がなかった。群がる男たちの中から、どうしてそんな男を、という男を選んでしまう。そして泣かされる。泣きつく相手は桃子だ。やめておけといったのにと言われ、その場では殊勝なふりで説教を聞いているものの、次の男もまたろくでなしをつかまえて失敗、桃子に泣きつく。そして説教。後悔と反省。延々と続くループだ。

テーマ:オリジナル小説
ジャンル:小説・文学

なのなのな 1-2

「彩花はさ、女として自分がすごく魅力的だってことに気づいていなさすぎ。だいたいさ、よりにもよってダメ男ばかり、どこで知り合うの?」
「んっとね、むこうから声かけてくる」
「それってナンパってこと?」
「うん」
 こくりと頷く彩花の頭をわしづかみにして、栗色の髪をもみくちゃにしたい衝動を、桃子はかろうじて抑えこんだ。
「ナンパしてくるのにろくな奴いないじゃん。見て普通の男じゃないってわかんないかなあ」
「普通じゃないって、どう普通じゃないの?」
 彩花の大きくて黒目勝ちな瞳に見つめられると、男でなくてもドギマギしてしまう。
「だからさ、髪が長いとか、黒くないとか。ピアスしてるとか、いかにも遊んでますって外見。普通の男は髪もちゃんと整えてるし、ピアスなんてしてない」
「桃子の言う『普通の男』は、いい男で、いい人なの?」
 彩花は、腰まである長い髪の縦に巻いたカールの先を指でもてあそんでいた。
「そう。だから、付き合うんだったら、そういう男とね」
「元カレは普通だったよ。髪も長くなかったし、茶髪でもなかった。ピアスもしてなかった。でも、最低男だった」
 彩花の鋭い指摘に桃子は二の句が継げなくなってしまった。前の男と彩花が別れた時、今度付き合うならちゃんとした普通の男とと言ったんだと思い出した。そういう意味では、桃子のいう「普通の」男と彩花は付き合って、またもや失敗したのだ。
「でも、ほら、前の男は茶髪だったじゃない。サーファーだったっけ。彩花に借金させたお金を別の女に貢いでいたっていう男」
「それは前の前の彼。前の彼はサーファーじゃなくて、ライフセーバー」
「『自称』ね。海の家の従業員だったよね。別の女に貢いでいたのって、DJの男?」
「ちがう、ミュージシャン」
「そうだった。デモテープ作ってレコード会社に持ち込みたいから金を貸してくれって言われて貸したんだよね。いくらだっけ?」
「五十万円……」
「そのお金、返してもらってないんだよね」
 返事のかわりに、彩花は唇を尖らせ、ぷいっとそっぽをむいてしまった。子どもじみた仕草がかわいらしい。男なら慌てて機嫌をとるところだろう。
「元カレと似たパターンじゃないの。作家志望とミュージシャン志望。プロになりたいからそのための金を出せって言われたのも同じ」
「ちょっと違う。ミュージシャンの彼は浮気相手に貢いでて、作家の彼はパチンコに使った」
 桃子をやりこめたと言わんばかりに彩花は笑顔を浮かべている。騙されたことに変わりないのだが、そんなことはどうでもいいらしい。前の経験から学ばない彩花が桃子は不思議で仕方ない。
「笑ってする話じゃないってのに。まったく彩花は」
「浮気ぐらい、暴力にくらべたらどうってことないもん」
 酔ってほんのり赤味を帯びている彩花の頬がひきつった。桃子でさえ、思い出すだけで胃の底にムカつきを覚えるその男は、彩花の肋骨を折った。彩花によれば、ちょっとした口ゲンカをしていたら部屋の壁に突き飛ばされたということだが、多分、嘘だろう。男に蹴られたか、殴られたかしたのは明らかだし、第一、ちょっとした口ゲンカぐらいで突き飛ばすような男はろくでなしだ。さすがの彩花もDV男だけは懲りたらしい。後にも先にもDVはその男ひとりだった。
「なんでダメ男ばかりなのかなあ。彩花はそういう男を呼び込んじゃう体質なのかなあ」
 独り言のつもりだったが、彩花にはしっかり聞こえていたらしい。
「呼んではいないもん。私だって、ダメンズはこりごり。だから、前とは違うタイプを選んでいるのに、なんでか次もダメ男なの」
 言われてみれば、彩花の歴代の男たちはみな違うタイプで、職業も外見もバラバラだった。最初に愚痴を聞かされた男は美容師をしていて通っているサロンで知り合ったと言っていた。その次の男の職業は忘れたが、外見だけはまじめそうな男だったのを、紹介された桃子は覚えている。今度は大丈夫だろうと安心していたら、同棲した途端、仕事を辞めて彩花の収入に頼るようになった。忙しい彩花に比べて時間をもて余し気味の男はお決まりのように他に女をつくった。その次の男は、パチンコ店の従業員だと聞いていた。前の男が口数が少なかったのにくらべ、パチンコ店従業員の男はおしゃべりだった。
 一見まじめそうな男と、みるからに遊んでいそうな男。見た目にも性格にも共通点がない彼らに共通しているのは全員がダメ男だということだ。

テーマ:オリジナル小説
ジャンル:小説・文学

なのなのな 1-3

「だとすると、彩花が男をダメ男にしちゃってるのかな」
「どういう意味?」
 聞き捨てならぬと彩花がくいついた。
「彩花、嫌われたくなくて、つい相手の言う通りにしちゃっているんじゃない? そうだとすると男はつけあがって勝手し放題になるの。こいつは俺の言うことは何でもきく。何を言っても何をしても怒らない、別れるなんて言わない女なんだなって思って」
 すらすらと言葉が口をついて出た。彩花の心理が手に取るかのようにはっきりわかる。はっきりすぎて他人の心理とは思えないほどだ。
(もしかして、私、自分のことを言ってる?)
 桃子が大学時代に付き合った男がまさにそういう男だった。プロダクトデザイン科の同級生で、大学二年の夏から付き合いだし、桃子が社会人になって半年後に別れた。
 彼は就職活動をしなかった。正確には、自分が志望する会社一社しか受けなかったのだ。彼は自分はその会社に就職してデザイナーとして活躍するのだという自信を持っていた。確かにクラスでの評価はよかったからその自信にまるで根拠がないわけではなかった。しかし、就職はできなかった。
 すっかり自信を無くした彼を桃子は励まし続けた。次がある、別の会社がある、そういって声をかけ続け、落ち込んでいるからと厳しくはしないでいるうちに甘くなり、男は浮気をした。
 見限るようにさっさと別れることができたのは、桃子がすでに社会に出ていたからだった。桃子の世界は広がっていた。次がある、別の男がいる。何もこの男でなくてもと思ったとたん、それまで彼しかいない、この人に嫌われたらどうしようという恐怖心から解放された。
 以来、仕事が恋人になった。仕事は尽くせば尽くしただけの見返りをくれる。わがままは言わない。最高の恋人だ。
「うーん。嫌われたくないっていうか、めんどくさいなと思っている部分はあると思う」
「めんどくさいってどういうこと?」
「かまってやるのがめんどくさい。仕事で忙しい時なんか、休日にどこに行って何をするのか考えるのもめんどうだから、相手にまかせちゃう。何でもいいよとか、好きにしてって言っちゃうのが癖になってるかも。私がかまわないでいるから浮気するんだろうけど、仕事で疲れていると問い詰めるのもめんどくさいし。ほっといたらつけあがるってわかってはいるんだけど。たまに、別れ話するのもめんどくさいって思うこともある。あれかな、水やりがめんどくさくて観葉植物を枯らしちゃうんだけど、男も面倒みないと枯れてダメになるのかな。私、サボテン枯らしたことある!」
 サボテンを枯らす女は強者だと、桃子と彩花は目じりに涙がたまるまで笑い転げた。
「彩花は仕事モードに入っちゃうと、他のことが何も手につかなくなるもんね」
 見かけはほんわかとして愛くるしい彩花だが、デザインの仕事となるとがらりと人が変わる。普段の会話ではすっとぼけた、的外れのようなことを言って周囲をあきれさせたり笑わせたりするが、仕事となると、あいまいな言葉で伝えられる指示をきちんと形にする。相手が言葉にできなかった部分も汲み取って形にする。
 自分の仕事に対してはプライドも高く、納得がいかない仕事に対しては周囲が何を言おうともガンとして受け付けない。理解できない指示は、理解できるまでとことん相手を質問責めにする。そういう時の彩花の口調はいつものおっとりとした調子とは打って変わって早口で、あいまいな表現を避けるのでストレートできつい言い方になる。
「私だって、枯らさないように努力しているつもりだよ」
 彩花の潤んだ瞳が桃子を見上げた。こんなあざとい仕草が男にはうける。“狙ってる”だの”計算している“だの言われるこうした仕草は、鳥が翼をひるがえして空を飛ぶように、魚が水の中を自由に泳ぎまわるように彩花にとっては自然で無理がない。
 自分にはまるで身につかなかった彩花の女の子らしい仕草を真似て、桃子は一度、鏡にむかって上目づかいとやらをしてみたことがある。あまりのえげつなさに桃子自身、気分が悪くなった。以来、好きな男の前でも決して媚を売るような真似はしまいと心に決めている。
「前の彼の時はこうしたから失敗した、だから今度は逆にいってみようとすると、何でだか同じ失敗しちゃうの。構わなくて浮気されるなら、構ってみようとしたらうざがられて浮気される。どうしたらいいのってわかんなくなって、男を枯らしちゃう」
「その人の性格とかにあわせて行動すればいいんじゃないの?」
「考えるよ。でも考えすぎて、余計訳わかんなくなる。裏の裏の裏をかいて結局前のパターンと同じとか、そんなのばっかり。桃子はそういうことないの?」
「学生時代の彼で学んだから。その後はそういうことないな」
 記憶をさかのぼった後、桃子はそう答えた。失敗しようにも、そもそも学生時代の彼と別れて以来、恋人という存在がいなかった。
「じゃあさ、聞くけど、桃子が私だとして、彼から作家デビューしたいからそのために必要な出版費用としてお金を貸してくれって言われたら、どうした?」
「本当に自費出版のための資金かどうか確かめるために、何にいくらかかるかの明細をださせるかな」
「お金はすぐには渡さない?」
「うん。何に使うにせよ、自分で捻出できないで付き合っている女に出させようという時点で、そんな男とはサヨナラ。っていうか、そんな男とはそもそも付き合おうとすら思わない」

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