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あじろ けい

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時効の闇 3-1

 被害者と話ができるってんなら、警察はいらねえや―
 調書のコピーをくる鴻巣の手が荒れている。
 高砂は何だってあんなインチキ霊能者なんかにひっかかったんだ。幽霊なんか、いるわけないじゃないか、子どもじゃなるまいし、いい大人が、しかも還暦過ぎのベテラン警察官ともあろう人が、「被害者と話ができます」なんて眉唾話に何でのせられたんだか。
 「霊がみえます」だの「霊がこう言ってます」だのというものは、心理トリックってやつだ。インチキ占い師が使うのと同じ手口だ。「悩みがありますね?」って聞かれたら、それは誰だって大小の差はあれ、悩みはある、「はい」って言うだろう。
 「霊がいる」と言われたら、信じるものは「それはきっと亡くなった母です」とか何とか口走ってしまう。そうなったらしめたもの、「亡くなったお母様がうんぬん」と勝手に話を作ればいい。どうせ真実なんて確かめようがないんだから、でたらめ言ったってバレやしない。先方は、自分が母親だ、って答えを言っちまったことなんかすっかり忘れて、霊能者ってやつが母親の姿をみた、と勘違いしてくれる。そういう仕組みだ。
 なんで、還暦過ぎた人生経験豊富な高砂がそんな簡単なこともわからなかったのか。
 刑事としても、人としても、鴻巣は高砂を尊敬していただけに、子どもだましのトリックに騙されたのが自分の肉親のような気がして、やたらと腹立たしい。
 高砂は昔かたぎの刑事だった。犯罪者も人の子だ、が口癖で、現場をなめるように確かめるのと聞き込みがその捜査手段の主だった。どんなにうまく証拠を消したつもりでいても、所詮は人間のすることだ、犯人は必ずナメクジのはった後のような痕跡が残している、そう鴻巣に教え、被害者の人間関係、現場の周囲の聞き込みを徹底するよう、叩き込んだ。ぬめぬめとした人間関係をあらっていくうちに、犯人や犯人につながる事柄に出くわした。
 容疑者と思われる人物にたどりついたら、高砂は食らいついて離れなかった。犯人も人の子なら、こちとらも人間だと言って、徹底的に向き合った。自分の犯罪を自慢したくてしょうがない腐った野郎には、そのねじまがった自尊心をくすぐって自供させてやったし、こいつには一言言っておいてやらないといかん、という犯人には説教たれた。殴られる痛みを知らなかった若者を殴りつけたこともあった。涙もろくて、犯罪に走らざるをえなかった事情をかかえた犯人に同情して泣いたりもした。いい年をして、感情の起伏が激しく、いい意味で大人でない人だった。
 それでも社会常識はあったろうに、そんな高砂が何故インチキ霊能者に騙されたりしたのか。
 殺された被害者と話ができるなんてこと、まともに受けていられるものかと、鴻巣は憤然たる思いで、かつての調書の写しをめくっていた。何か見落としているものはないか、犯人につながるものがあるとすれば、それは必ず調書にあるはずだ、当時見過ごされてしまった何かが。被害者の霊と直接話をすれば、簡単に犯人が逮捕できるではないかなどと考えるのはバカげている……。

テーマ:オリジナル小説
ジャンル:小説・文学

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