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あじろ けい

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時効の闇 エピローグ

 富士見台一家殺人事件の時効目前になって、事件を再現するかのような形で被害者家族が殺害されたとあって、マスコミは連日、坂井圭介が殺された事件の話題でもちきりだった。
 15年前の事件と同一犯によるものなのか、はたまた模倣犯か、人の注意を引きたいだけの愉快犯の仕業か。マスコミは事件をいろいろに書きたて、1億総探偵はあれこれと真実を推理する。そのどれもが的外れであると知っているのは、鴻巣とスメラギだけだった。
 スメラギの予言どおり、犯人は捕まらなかった。坂井圭介と名乗っていた坂井信行を殺したのは、殺された兄・圭介の霊だったが、実際に手を下した人間の犯人は別にいる。そうと知っていながら、鴻巣には手も足も出ない。自論を展開するには、まず霊が存在するという話から始めなければならない。それにしても、人間の犯人が捕まらないというのには、鴻巣は何か大きな力を感じざるを得ない。スメラギの言うとおり、殺された人々の無念を晴らす組織があり、その背後には警察権力さえものみこんでしまう何かがあるのではないか……。
 物的証拠もないまま、事件は10日目をむかえようとしている。マスコミは今は事件のことで騒いでいるが、クリスマスとやがて迎える大晦日、新年と、日を重ねるごとに事件を忘れていってしまうだろう。そうして真実は闇のなかに埋もれていく。鴻巣とスメラギだけが、坂井兄弟の悲劇を知る。
 鴻巣は、坂井圭介こと坂井信行を逮捕できなかったのが悔やまれてならない。怨念の塊となって信行を殺した圭介の復讐心を、鴻巣は否定できない。自分を殺した男に自分が味わったと同じ苦しみを与え、さぞかし溜飲を下げたろうとおもうのだし、自分が同じ立場なら、やはり復讐を考えるだろうと思う。
 だが…と鴻巣は考え直す。圭介は復讐を遂げて満足だろうが、果たして信行の罪はそれで消えるのかと。信行は坂井圭介として死んでしまい、母親と妻、そして幼い子どもまで手にかけた罪は償っていないのだ。鴻巣は、刑事として、坂井信行を肉親殺しの罪で逮捕し、司法の手に委ねたかった。人がこの世で犯した罪は、人が裁くべきだ。そのための警察・検察機構ではないか。
 鴻巣のやりきれない気持ちを知ってか、スメラギは、当時9歳だった坂井 徹は人間に生まれ変わって今はサッカーを楽しんでいると言った。鴻巣にはそれが嘘だとわかっている。生まれ変わりのセカンドチャンスが与えられたら、一度目と同じサッカー少年への道は歩まないだろうと鴻巣は思う。自分だったら、別のもの、たとえば今度は野球とかを試してみたいと思うからだが、いずれにしろスメラギの下手な嘘は鴻巣の心を少しは慰めた。

テーマ:オリジナル小説
ジャンル:小説・文学

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