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罪喰い 3-5

 誰かが毒を盛っているというドイル医師の告発により、ジョンストンの病室への一切の出入りが禁止された。唯一出入りを許されたのは、ドイル医師、パメラ看護師、いざというときに罪喰いを行うよう依頼されているアルだけだった。
 もともとは客間だったジョンストンの病室のドアに鍵はついていない。明日にでも鍵を取り付ける予定で、その夜はドアの入り口に見張りをたてていた。
 アルが入り口にたどり着いた時、夜を徹して監視し続けるはずの見張り役はすやすやと寝息をたてていた。見張り役は執事のローソンだった。昼間の騒ぎで、心身ともに疲れてしまったのだろう。老いた執事は、空港でアルを追いかけて走ってきただけで体力を使い果たしてしまったのだ。
 アルはそっとドアを開け、部屋の中へとすべりこんだ。ドイル医師に打ってもらった鎮静剤が効いているらしく、ジョンストンは深い眠りについていた。この分だと、邪魔されずに仕事が出来そうだった。
 アルは、ジョンストンが見たと主張した地獄の入り口のことが気にかかっていた。ドイル医師は幻覚だと一蹴したが、幻覚などではない。アルの他に見たものがいないのは、みな怖がって部屋の中へは入ろうとしなかったからなのと、地獄の入り口が天井にあって見上げなければ見えなかったからだ。そしてその入り口も、アルが目を向けたとたん、掻き消えてしまった。
 一度開いた地獄の入り口が閉じることはない。アルは自分が見た地獄の入り口は果たして本物であったかとの疑問をもった。そして、もしかしたらとある疑念を抱いた。夜を待ってジョンストンの病室に忍び込んだのはその疑念を確かめるためである。
 アルはジョンストンのベッドの下をのぞきこんだ。アルの考えが正しければ、そこにプロジェクタがあるはずだった。昼間の騒ぎ以降、病室に入れたものは誰もいない。プロジェクタを仕掛けた人間は回収できずにいるだろうから、まだあるはずだ。
 アルは、ジョンストンと2人だけして見た地獄の入り口は偽物ではないかと疑った。誰かが地獄の入り口の映像をプロジェクタを使って天井に映し出してみせた。ジョンストンを怯えさせ、罪喰いを行わせるためだ。誰がということは判明している。地獄の入り口の映像を持っている人間はひとりしかあり得ない。
 だが、プロジェクタはそこにはなかった。一足遅かったかとアルは唇を噛んだ。見張りの執事は眠りこけているから、犯人は簡単に部屋に入れてしまったのだ。
「探しものはこれかな?」
 闇の奥から声がした。片膝をついた姿勢のまま顔をあげると、部屋の片隅に人が座っている。暗闇に慣れた目は、それがジョンストンの車椅子に腰かけているドイル医師だと見分けた。組んだ足の膝の上にプロジェクタが乗っていた。
「手段はどうとでも――どうやってもお前に罪喰いをやらせたい人間がいるようだな」
 それはドイル医師であってドイル医師ではなかった。暗闇に猫のように光る眼、縦に裂けた瞳孔は悪魔が乗り移っている証だった。アルは悪魔の正体を知らない。彼(あるいは彼女かもしれないが)を現実世界で見る時にはいつも誰かの体を借りている。今回は、ドイル医師の体を借りているようだ。
「お前も見当はついているのだろう」
 ドイル医師ことサタンは、まるで膝の上に乗った猫を愛撫するかのような仕草でプロジェクタを撫でた。すると天井に昼間見たものと同じ地獄の入り口が現れた。
 正確には、トムじいを飲み込もうと開いた地獄の入り口の映像である。
 映像はすぐに消えて再びもとの暗闇が戻った。
 トムじいの罪喰いの様子をビデオに撮影されていたのだ。昼間、天井に出現した地獄の入り口はその時の映像を編集したものだ。アルは騙せないが、ジョンストンを怯えさせるには十分の迫力がある。撮影できた人間はひとりしかいない。

テーマ:オリジナル小説
ジャンル:小説・文学

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