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あじろ けい

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罪喰い 4-1

 一週間後、ジョンストンの病室のドアが開け放たれ、夫人とノーマン、ライアンが招き入れられた。ジョンストンのかたわらには、ドイル医師とパメラ看護師がひかえていた。アルもまた、ジョンストンによってその場に呼び出されていた。
 ジョンストンはベッドの上に仰臥していた。呼吸をするのにも一苦労といった状態だったが、酸素マスクはしていなかった。呼び出した全員がそろうと、ジョンストンはぐるりとあたりをみまわした。
「今日集まってもらったのは、遺言状について話をしようと思ってだ」
 ジョンストンがようやっと声を絞り出すと、ライアンが口をはさんだ。
「書き変えるって言うつもりなんでしょうね。自分を殺そうとしている人間に遺産をやろうなんてバカはいませんからね」
「その通りだ」
 ジョンストンが夫人を相続人から外すつもりだと知って、ライアンは満足げな笑みを浮かべた。夫婦には子どもがいないから、夫人がもらうはずだった遺産の取り分はライアンのものとなる。さっそく金の使い道の算段をしているに違いないライアンは口元がゆるみっぱなしだった。
「遺言状は書き変えた。あとは証人にサインしてもらうだけだ。ドイル医師、サインしてもらえるだろうか」
 ジョンストンは車椅子の上に置いてあった書類をパメラ看護師に頼んでもってこさせた。書類を手渡されたドイル医師は、パラパラとページをめくり、最後の一枚にさっさとサインした。
「あともうひとり。神父(ファーザー)、サインしてもらえるだろうか」
 ライアンの手前、神父でい続けているアルは名指しされ、ドイル医師から遺言状を受け取った。その内容に目を通し、アルは驚愕した。
 本当にこの内容で構わないのかと確かめるようにアルはジョンストンの顔をみた。ジョンストンは強い眼力でアルにサインを迫った。
 アルは次にドイル医師をみやった。ドイル医師、いやサタンはまたしてもデーモンを放とうとしている。その意志を彼の笑みにアルは見出した。アルが新しい遺言状にサインをすれば、デーモンが放たれる。わかっていながらサインすることは、アルにはどうしてもできなかった。
「神父(ファーザー)、さっさとサインしてください」
 何も知らず、すべての遺産が自分に譲られるものになると思い込んでいるライアンはサインを促した。
「素晴らしい遺言ではないか。ジョンストンさん、あなたは善人の鑑だ」
 ドイル医師ことサタンはアルからペンと遺言状を取り上げたかと思うと、パメラ看護師に渡した。アルのかわりにサインをしろと言われた格好のパメラ看護師は最初戸惑っていたが、遺言状の内容に目を通すなり、ためらわずにサインした。
 とたんに部屋中に響き渡ったのはジョンストンの薄気味悪い笑い声だった。ジョンストンは気が狂ったように笑い続けた。そして遺言状をノーマンに差し出した。
「ノーマン。お前は顧問弁護士としてこの遺言状をしかるべく執行するように」
 ジョンストンが手にした遺言状を、ライアンがひったくった。夫人に遺産の一部を譲るとした前の遺言状を破棄するという一文を読んだのだろう、ライアンの口角が上がった。だが、次の瞬間、上がった口角のはじに泡を飛ばしながらライアンはジョンストンにくってかかった。
「何です、この遺言状は! ぼ、僕は認めませんよ、こんな遺言状!」
 新しい遺言状の内容を知り、ライアンは激怒していた。
「ノーマン弁護士、こんな遺言状、認められるんですか?」
 ライアンは息巻いて書類をノーマンに渡した。ノーマンはパラパラと書類をめくってみせた。専門家だからどこを重点的にみればいいのかわかっているのだろう。証人欄にドイル医師とパメラ看護師のサインを確認したノーマンは、ふうとため息をもらした。
「書類に不備はありません。こちらが新しい遺言状です」
 とたんにライアンは雄叫びをあげた。両手で髪をかきむしり、目をむく形相で夫人を睨みつけるなり、
「あんたのせいで僕は一文なしだ。お得意の慈善とやらで助けてもらいたいもんだよ」
 と暴言をはいた。
 夫人はライアンには取り合わず、ノーマンから遺言状を受け取った。その内容を確認した夫人の頬が一瞬で赤くなった。

テーマ:オリジナル小説
ジャンル:小説・文学

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