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神隠しの森 4-2

 生番組中の“霊視”によって発見された白骨体の身元は、下平裕介ちゃんと判明した。
 身元の判定には、スーパーインポーズ法が用いられた。インポーズとは、英語で“重ねる”という意味で、文字通り、頭がい骨の写真と、その持ち主ではないかと疑われる人物の写真とを重ね合わせ、頭部の形、顔の輪郭、目、鼻、口の位置が一致するかどうかを確認する。
 頭がい骨に粘土などを用いて肉付け作業を行う従来の複顔作業では身元が判明するまでに多くの時間が要ったが、スーパーインポーズ法では格段に時間が短縮できる。
 先に行われていたDNA鑑定の結果をうけ、警察は、付近で起きていた別の行方不明事件に着目した。下平裕介ちゃん失踪事件である。
 村上勇樹ちゃん失踪事件の一年前、下平裕介ちゃん(当時3歳)が行方不明になった。近所の子どもたちと遊びにいき、他の子どもたちが帰宅した夕方になっても裕介ちゃんだけが戻らなかった。両親は子どもたちを問いただしたが、誰も裕介ちゃんがいなくなったと気づいていなかった。
 子どもたちは神隠しの森の近くで遊んでいた。大勢で遊んでいるうち、裕介ちゃんはひとりはぐれてしまったのだろうと考えられた。両親をはじめ、近所の人たちで神隠しの森に入って裕介ちゃんを捜そうとしたが、一部私有地である森への立ち入りは、所有者によって拒まれてしまう。その所有者というのが、村上勇樹ちゃんの両親だった。下平裕介ちゃんが発見されないまま、1年後、今度は村上勇樹ちゃんが行方不明になった。その際には神隠しの森を含めたかなりの広範囲にわたっての捜索活動が行われたが、勇樹ちゃんは発見されなかった。
 当初、勇樹ちゃんではと思われた白骨体は、下平裕介ちゃんのものと判明したため、警察は裕介ちゃんの両親に連絡を取った。
 裕介ちゃんの両親は、裕介ちゃんが行方不明になった直後、他県へ引っ越していた。裕介ちゃんが行方不明になった際、森での捜索を拒まれたことから、下平家と村上家の間には確執があったが、勇樹ちゃんが行方不明になったことで関係はさらに悪化、自分の子どもを捜すためには森への立ち入りを許可するのかと不愉快に思った裕介ちゃんの両親は県外へと移動した。
 警察から裕介ちゃんの遺体が発見されたと知らせを受け、父親が警察へと出向いた。母親はショックで寝込んでしまったらしい。
「念のため、DNA鑑定にまわしているらしいけど、まあ、十中八九、裕介ちゃんで間違いないわなあ……」
 どこかで生きていてくれるものだと、生きていてほしいという希望を抱き続けてきただろう裕介ちゃん両親の思いを考えると胸が痛む鴻巣は、眉根をしかめてみせた。自分が担当する事件ではないが、自分が出演した番組で発見された遺体なので、鴻巣は事件に並々ならぬ関心を寄せていた。
「事件の可能性はあるんですか?」と美月がたずねる。
「わからん。首の骨が折れていたらしいが、事件とも事故とも判断はつきかねるそうだ」
「例の偽霊能者の取り調べはどうなってんだ?」
 霊視で遺体を発見したなどとは思っていない警察は、東雲青竜が何らかの事情を知っているとみて取り調べを行っているとスメラギは鴻巣から聞かされて知っていた。
「霊に導かれただけ、の一点張りだそうだ。7年前、勇樹ちゃんが行方不明になった時、あの山では大掛かりな捜索が行われたんだ。その時に遺体は発見されなかった。見逃していた可能性もあるだろうが、低いだろうな。だとすると、誰かがあの場所に遺体を置いたのは確かだし、東雲青竜が一枚かんでいるのも確かなんだろうが、何しろ物証がないからなあ」
 鴻巣はスメラギをちらりと見やった。スメラギの霊視能力をいかして、事件解決ができないかと目論む鴻巣はスメラギの探偵事務所を訪れているのだった。
「こうは考えられないかな」と、美月が口を開いた。
「裕介ちゃんが行方不明になった。森を捜索したいと言うが、勇樹ちゃんの親には断られてしまう。腹いせに、勇樹ちゃんの両親に自分たちが味わったのと同じ苦痛を与えようと……」
「なんだ、お前は、勇樹ちゃんは裕介ちゃんの親に誘拐されたって考えてんのか?」
 口ではそういいながらも、鴻巣は美月の単なる推測に妙に納得していた。
「ありえなくもないか……」
 鴻巣はケータイを取り出し、どこかへと電話をかけた。相手はおそらく捜査本部の知人だろう。
「勇樹ちゃん行方不明事件の真相はそんなとこかもしんねえけどさ、わっかんねーのは、なんで裕介ちゃんの頭がい骨をあの場所に置いたかだよな……」
 スメラギは今だに“やらせ”の動機にこだわっていた。頭がい骨があの場所に置かれたであろう事実は間違いない。しかし、誰が(おそらくは東雲青竜だろうが)、何のためにそんなことをしたのか、その目的は以前として霧のむこうだ。
「なあ、おっさん、DNA鑑定ってどれくらいで結果でんの?」
 ケータイを耳にあてたまま、鴻巣はVサインをしてみせた。
「はやくて二週間だそうだ」
 二週間後、白骨体の身元は下平裕介ちゃんと確認された。しかし、その結果は両親には報告されなかった。
 結果を伝えようと下平夫妻に連絡を取ろうとした警察だったが、すでに夫妻はそろって行方をくらましていた。

テーマ:オリジナル小説
ジャンル:小説・文学

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