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なのなのな 1-2

「彩花はさ、女として自分がすごく魅力的だってことに気づいていなさすぎ。だいたいさ、よりにもよってダメ男ばかり、どこで知り合うの?」
「んっとね、むこうから声かけてくる」
「それってナンパってこと?」
「うん」
 こくりと頷く彩花の頭をわしづかみにして、栗色の髪をもみくちゃにしたい衝動を、桃子はかろうじて抑えこんだ。
「ナンパしてくるのにろくな奴いないじゃん。見て普通の男じゃないってわかんないかなあ」
「普通じゃないって、どう普通じゃないの?」
 彩花の大きくて黒目勝ちな瞳に見つめられると、男でなくてもドギマギしてしまう。
「だからさ、髪が長いとか、黒くないとか。ピアスしてるとか、いかにも遊んでますって外見。普通の男は髪もちゃんと整えてるし、ピアスなんてしてない」
「桃子の言う『普通の男』は、いい男で、いい人なの?」
 彩花は、腰まである長い髪の縦に巻いたカールの先を指でもてあそんでいた。
「そう。だから、付き合うんだったら、そういう男とね」
「元カレは普通だったよ。髪も長くなかったし、茶髪でもなかった。ピアスもしてなかった。でも、最低男だった」
 彩花の鋭い指摘に桃子は二の句が継げなくなってしまった。前の男と彩花が別れた時、今度付き合うならちゃんとした普通の男とと言ったんだと思い出した。そういう意味では、桃子のいう「普通の」男と彩花は付き合って、またもや失敗したのだ。
「でも、ほら、前の男は茶髪だったじゃない。サーファーだったっけ。彩花に借金させたお金を別の女に貢いでいたっていう男」
「それは前の前の彼。前の彼はサーファーじゃなくて、ライフセーバー」
「『自称』ね。海の家の従業員だったよね。別の女に貢いでいたのって、DJの男?」
「ちがう、ミュージシャン」
「そうだった。デモテープ作ってレコード会社に持ち込みたいから金を貸してくれって言われて貸したんだよね。いくらだっけ?」
「五十万円……」
「そのお金、返してもらってないんだよね」
 返事のかわりに、彩花は唇を尖らせ、ぷいっとそっぽをむいてしまった。子どもじみた仕草がかわいらしい。男なら慌てて機嫌をとるところだろう。
「元カレと似たパターンじゃないの。作家志望とミュージシャン志望。プロになりたいからそのための金を出せって言われたのも同じ」
「ちょっと違う。ミュージシャンの彼は浮気相手に貢いでて、作家の彼はパチンコに使った」
 桃子をやりこめたと言わんばかりに彩花は笑顔を浮かべている。騙されたことに変わりないのだが、そんなことはどうでもいいらしい。前の経験から学ばない彩花が桃子は不思議で仕方ない。
「笑ってする話じゃないってのに。まったく彩花は」
「浮気ぐらい、暴力にくらべたらどうってことないもん」
 酔ってほんのり赤味を帯びている彩花の頬がひきつった。桃子でさえ、思い出すだけで胃の底にムカつきを覚えるその男は、彩花の肋骨を折った。彩花によれば、ちょっとした口ゲンカをしていたら部屋の壁に突き飛ばされたということだが、多分、嘘だろう。男に蹴られたか、殴られたかしたのは明らかだし、第一、ちょっとした口ゲンカぐらいで突き飛ばすような男はろくでなしだ。さすがの彩花もDV男だけは懲りたらしい。後にも先にもDVはその男ひとりだった。
「なんでダメ男ばかりなのかなあ。彩花はそういう男を呼び込んじゃう体質なのかなあ」
 独り言のつもりだったが、彩花にはしっかり聞こえていたらしい。
「呼んではいないもん。私だって、ダメンズはこりごり。だから、前とは違うタイプを選んでいるのに、なんでか次もダメ男なの」
 言われてみれば、彩花の歴代の男たちはみな違うタイプで、職業も外見もバラバラだった。最初に愚痴を聞かされた男は美容師をしていて通っているサロンで知り合ったと言っていた。その次の男の職業は忘れたが、外見だけはまじめそうな男だったのを、紹介された桃子は覚えている。今度は大丈夫だろうと安心していたら、同棲した途端、仕事を辞めて彩花の収入に頼るようになった。忙しい彩花に比べて時間をもて余し気味の男はお決まりのように他に女をつくった。その次の男は、パチンコ店の従業員だと聞いていた。前の男が口数が少なかったのにくらべ、パチンコ店従業員の男はおしゃべりだった。
 一見まじめそうな男と、みるからに遊んでいそうな男。見た目にも性格にも共通点がない彼らに共通しているのは全員がダメ男だということだ。

テーマ:オリジナル小説
ジャンル:小説・文学

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