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あじろ けい

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なのなのな 1-4

「ねえ」
 彩花は突然、ぐいと顔を近づけてきた。
「どうして付き合うとすら思わないの?」
「どうしてって」
 目の前にあってますます大きく見える彩花の瞳に妙にドギマギさせられながら、桃子は言葉をさがした。
「いい年して夢見心地でいるだけの男なんて、みるからにアウトでしょ」
「そんなの、付き合ってみないとわからないじゃん。夢みることは悪いことじゃない」
「そうだけど、行動がともなっていなければね」
「行動って?」
「小説家志望なら、毎日小説を書いているとか、ミュージシャン志望なら作曲しているかとか、そういう努力をしているかどうかってこと。行動しない、できない理由を言い訳するならその時点でコイツはダメだなってわかる」
「でも、何か事情があるだけでとか、そういうことは考えない?」
「考えない」
 桃子はぴしゃりと否定した。たちまち彩花は萎れてしまった。かと思うと、すっと頭を上げ、桃子に迫った。
「桃子!」
「な、なに」
「森の中で道に迷ったとしたらどうする? 来た道を戻る? それとも、どこかに出られるかもしれないとそのまま歩き続ける?」
「来た道を戻るかな」
 ほんの少しの間をおいて、桃子は言った。
「来た道を引き返していけば確実に森から出られるでしょ。入ったところへ戻るんだから」
「じゃあさ、モンスターに追いかけられたとして。目の前にある吊り橋を渡って逃げようとしたら、その先に別のモンスターが現れたらどうする? 別のモンスターを振り切って逃げる? それとも戻る?」
「戻ると思う」
 今度はさっきよりも返事に少し時間がかかった。桃子の答えを聞くなり、彩花は大きな瞳をさらに見開いて、桃子を見つめ、小首を傾げた。
「どうしてそんな簡単に決められるの? 私なんか、すごく悩むのに」
「追いかけてきたモンスターなら、たとえば小回りがきかないとかそういうちょっとしたことが少しは分かっていると思うんだよね。そういう相手なら、かわせないことはないと思う。でも、新しく出てきたモンスターについては何もわからないから、取り敢えず逃げるしかないでしょ」
「追いかけてきたモンスターより弱いヤツかもしれないよ?」
「そんな小さな可能性にかけられまセーン」
 桃子がそう言うと、彩花はバタリとカウンターの上に身を投げ出し、しばらくの間、動かなくなった。
「彩花?」
「うん」
 不安になった桃子が声をかけて、ようやくカウンターの下から声があがった。
「そうだよね。新しく現れたモンスターが弱いかもしれないなんて、根拠がない推測だもんね。そっかあ……桃子の考え方が正しいよ。桃子みたいに物事を判断できたら、失敗少ないよね」
 彩花は上半身をだらりとカウンターの上に預けていた。まるでこぼれたオレンジフロート、カウンターに片方の頬をつけた横顔が桃子を見上げている。
 突然、彩花が体を起こした。瞬間冷却されて立ち上がった霜柱の高速回転映像を見る思いで、桃子は目を見張った。
「いいこと、思いついた!」
「なによ、いきなり」
 嫌な予感がした。仕事に関しては彩花の判断やアイデアを疑ったことはないが、プライベートに関しては、仕事での判断力はどこへやら、彩花はとんちんかんな思い付きを口にする。
「桃子が、私のかわりにいろいろ考えてくれたらいいんだ!」
「なにそれ、意味わかんない」

テーマ:オリジナル小説
ジャンル:小説・文学

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