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あじろ けい

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なのなのな 2-5

 それがある場所はわかっている。わざわざ目につかない場所に隠したというのに、まるで洞窟の奥でひっそりと輝くヒカリゴケのように、控えめながらしっかりとその存在を主張し続けるので、気にならずにはいられない。
 ベッドから起き上がった桃子は、その足でまっすぐクローゼットへとむかった。暗闇に慣れた目でスライディングドアをさぐりあて、一息に開ける。ダークな色合いのパンツスーツをかき分け、クローゼットの一番奥にまで手を伸ばす。光り輝くその服をクローゼットから取り出し、まるでカゲロウの羽を扱うかのように慎重な動作で、透明なビニールカバーから服を取り出した。
 裾の長い白のワンピース。首元が少し開いた丸襟に、パフスリーブの袖。麻のような質感の生地は意外にずしりと重い。
 ワンピースを胸にあて、桃子は姿見の前に立った。夏の高原で風に吹かれて佇む少女がセルフイメージだったが、目の前にいるのは貞子でしかなかった。姿見から顔を背けるなり、桃子はワンピースをベッドの上に投げ出した。
 少女趣味の服は似合わないとわかっている。わかっていながら買ってしまった。一目ぼれだった。ワンピースは、駅前のセレクトショップのショーウィンドウに飾られていた。一週間は耐えた。
 似合わない、似合わないと心の内で唱え続け、そのショップの前を通る時は目をそらしていたのに、一週間後、桃子はワンピースを試着しないで買ってしまっていた。
 家に帰るなり、ワンピースを胸にあて姿見の前に立った涼子は悲劇的なまでの似合わなさに衝撃を受け、タグも取らずにワンピースをクローゼットの奥にしまいこんだ。以来、ワンピースは眠れる森の美女よろしく、深い眠りについていた。
 衣替えの季節を迎えても、ワンピースはクローゼットのハンガーに下げられたままだった。一生着るつもりはないのに、どうしてだか手放させない。
 好きだからだ。桃子は少女趣味の服が好きだった。普段着や仕事着にはカチっとしたものを選んで着ているが、好きなのは、フリフリでフワフワで、ヒラヒラしたガーリーな服だ。
 だが、すらりと背が高く、小さくて面長な顔、黒くてまっすぐな髪と、鉛筆のような姿の桃子に、フリルやレースは絶望的なまでに似合わなかった。
 今では潔く、女の子らしい服は諦めて、彩花にも似合うと絶賛されたパンツスーツ姿をはじめとするカッチリした服を着ることにしている。
(やっぱり似合わないか)
 桃子はワンピースを元あった位置にしまった。
(彩花には似合うんだろうな)
 暗闇の中、涼子はふっと小さなため息をついた。

テーマ:オリジナル小説
ジャンル:小説・文学

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