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あじろ けい

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なのなのな 4-8

「いない」
 亮平の姿を探していた女がいまいましそうに呟いた。そんなはずはと、玄関にむかって上半身をひねりかけていた桃子は部屋の中に舞い戻ってきた。
 女の言うように、亮平の姿はどこにも見当たらなかった。ベランダには物干し竿とエアコンの室外機があるだけで、隠れるような場所はない。
「こっちじゃなかった」
 舌うちした女は、桃子の部屋を飛び出していった。
 しばらくするとインターホンが鳴る音が聞こえ始めた。六〇八号室の住人はよほど眠りが深いのか、無視し続けるつもりでいるのか、部屋からの応答はないようだった。そのうち女はドアを叩き始めた。
 その音に弾かれるようにして、桃子は部屋のドアを閉め、鍵をかけ、チェーンをおろした。今度は絶対に開けないつもりだ。
 窓の鍵も閉めないとと、慌ててベランダにむかい、窓を閉めようとしたところで、ベランダに侵入しようとしてくる男と目があった。亮平だった。
 亮平は、各部屋のベランダを仕切る壁にしがみつき、片足を室外機の上にかけて、まさに桃子の部屋のベランダに移ってくるところだった。
「冷たっ!」
 無事ベランダに着地成功した亮平は、両手で局部を覆った格好でコンクリートの上を二、三度跳ねた。
「あいつ、もういないべ」
 亮平は爪先で撥ねながら、部屋の中へと入ってきた。
「あ、窓閉めといて」
 亮平の言葉にはっとして、桃子は窓を閉め、カーテンもきつく閉じた。
「何か着るもんない?」
 亮平は勝手にクローゼットを開け、物色を始めた。
「なんか、オレのクローゼットと変わんねえのな。ダーク系のパンツスーツばっかでやんの。おっ?」
 クローゼットの奥をのぞきこもうとする亮平の耳をつかみ、桃子は玄関まで引きずって行った。
「痛ぇよ、何すんだよ」
「さっさと自分の部屋に戻りなさいよ」
「ヤだって。今部屋に戻ったら何されるか、わかんないって。しばらくかくまってよ」
「イヤ」
「冷たいなあ。隣同士、助け合おうよ」
「浮気男なんか助ける義理はありませーん。刺されでも何でもされちゃいなさいよ」
「裸のオレがこの部屋から出てくるところを見られたら、あんたもただじゃすまねえと思うけど」
 玄関に近づくにつれ、六〇八号室のドアを叩く音が強くなった。無視され続けているのは亮平が部屋の中にいるからに違いないと思い込んだらしい女はますますヒートアップしている。亮平の言う通り、こんな状況下で、桃子の部屋から裸の亮平を出そうものなら、桃子と何かあったと勘違いされかねない。
 亮平の耳をつまんだまま、桃子は部屋の中をUターンし、今度は窓にむかった。閉めたカーテンを開け、窓を全開にし、亮平をベランダに放り投げた。
「どうぞ、来た所から部屋に戻ってください」
「窓に鍵かけられて部屋の中には入れないんだって」
 コンクリートの上で、亮平はピョンピョンと撥ねていた。
「窓を割って入ればいんじゃない?」
「修理代払いたくねえし」
「修理代ぐらい出してあげないこともないから、さっさと部屋に戻ってちょうだい」
「お、太っ腹!」
「私が巻き添えくらうのを考えたら、ガラスの修理代なんて安いものよ。はい、早く戻って」
 亮平はベランダの手すりから下をのぞいた。
「ベランダ越えるの、こえーんだぜ。途中で落ちたらどうするよ」
「一回こっちに来て、彼女がベランダ確認している直前に自分とこのベランダに戻って、その後、またうちのベランダに来たんでしょ。もう二回も行ったり来たりしているんだから、慣れたものでしょ」
「部屋に戻ったらマジ殺されるって。あいつ、合鍵持ってるから部屋の中に入って来れるんだって」
「自分で渡した合鍵でしょ。浮気したんだから、殺されても何されても自業自得です」
「ちげーよ。オレ、合鍵なんか絶対誰にも渡さねーもん。あいつが勝手に作ったんだって」
「彼女、浮気を疑ってたのね。一度、殺されてきたらどう?」
「ひでぇ。男に恨みでもあんの? あ、浮気されたとか?」
「違います! 付き合っているコがいるのに浮気する方が悪いでしょうが」
「オレもあいつにとっては浮気相手だけどな」
「はあ?」

テーマ:オリジナル小説
ジャンル:小説・文学

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