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あじろ けい

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なのなのな 5-7

「そんなはずないっしょ。もう一回試してみてよ」
「もう何度も試したけど、エラーになるの。また限度額超えたんじゃないの」
「じゃ、こっちので」
 亮平は別のカードを取り出した。桃子には笑顔を取り繕っていたが、不安なのか、何度もレジに視線をやった。不安は的中し、カードはまたしても使用できなかった。
「マシンがおかしいんじゃねえの」
 焦る亮平を横目に、桃子は黙って自分のカードを差し出した。女店員も黙ってカードを受け取り、粛々とカード決済の手続きを済ませた。
「ありがとうございました」
 満面の笑みの女店員には笑顔を返し、亮平にむかっては冷たい視線を投げかけ、桃子は店を出た。フロアを足早にコンコースに向かって歩き始めると、後ろから亮平が追いかけてきた。
「待ってよ。悪かったって。今月はきついけど、来月給料入ったらちゃんと全額返すから」
 亮平を無視し、桃子はコンコースを駅にむかって渡り始めた。雨はいつの間にかやんで、雲間から太陽が顔をのぞかせている。梅雨明けもそう遠くないだろう。
「いいよ、別に。もともと、自分で出して買うつもりだったし。社割にしてもらっただけでも助かったから」
「でも、それじゃ、オレの気がすまないっていうか。この間のカシが返せていないっていうか」
「うん、貸しが増えてるよね」
 コンコースが尽き、駅の構内に入るとむっとした湿気に包まれた。
「あれ、なんか、喉、乾かねぇ? オレ、喉乾いたわー。ちょっとそこらでお茶してかね? おごるからさー」
「いつの時代のナンパよ?」
「いいから、いいから」
 スーツの入ったショップの袋を引っ張りながら、亮平は桃子を駅の外へと連れ出した。
 亮平は意気揚々として駅前のコーヒーチェーンの店の中へと入っていき、桃子はその後に続いた。
「おごるお金あるの?」
 ふざけた調子で桃子は尋ねた。二人分のコーヒー代ならたかがしれている。
「あるに決まってんじゃんよ」
 鼻を鳴らしてそう言うなり、亮平はアイスコーヒー以外にもサンドイッチとマフィンを注文した。
 いざ会計となった時だった。亮平は後ろに並んでいた桃子にむかって困ったような顔をしてみせた。嫌な予感がした。
「ごめん、金欠だった……」
 桃子にみせた財布には小銭しか入っていなかった。かき集めてもせいぜい二百円が限度とみて、桃子は亮平を睨みつけながら自分の財布から千円札を取り出し、支払いを済ませた。
「返すから。絶対返すから」
 席にむかうまでの間、コーヒー片手に亮平はそう言い続けた。
 返すから――彩花への借金を踏み倒した男たちが言っていたセリフだった。彼らは少額の借金を重ね続け、もう金が引き出せないとなったところで去っていった。コーヒー代ぐらいいいかと思っていたが、亮平は少しずつ桃子から金を引き出すつもりでいるのかもしれないと考えだすととたんに悔しさがこみ上げてきた。

テーマ:オリジナル小説
ジャンル:小説・文学

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