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あじろ けい

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なのなのな 6-3

「別れたよ」
 部長の真似を笑いあう中で、貴一はさらりと言ってのけた。何の話だろうと桃子ははじめのうち戸惑っていたが、やがて彩花のことだと気づいた。
「彩花から別れようって言いだしたんですか?」
「いや、俺の方から」
「それは、いつですか」
「三週間ぐらい前かな」
 彩花を亮平の部屋の前で見かけた時期と重なる。
「会社から彼女をつけていったんだ。彼女、若い男と待ち合わせして、食事して……その後一緒にマンションに入っていくのを見たんだ。他に男がいたんだな。知ってた?」
 ソルティドッグを飲んで首を横に振った。
「長谷川は、立木から聞いたのかって言ってた」
 桃子は思わず顔を上げた。
「相手がたまたま隣の部屋に住んでいる男だったんです」
 マンションで彩花に偶然出くわしたこと、その日は彩花を部屋に泊めたことなどを桃子はかいつまんで話した。
「浮気なんかするような子じゃないんです。そういうことになってしまったけど、悪気はなかったんだと思います」
「悪気がなかったら浮気していいとでも?」
「すいません……」
 桃子がうなだれると、何で立木が謝るんだと言って貴一は笑った。それから頭の後ろで両腕を組んで何事かを考えこんでいた。
「結局、はじめから俺のことは好きではなかったんだろうな。告白したのも俺からだったし。好きになってもらえなかったというか……」
「好きになったからといって、好きになってもらえるのなら、苦労しません」
 貴一は驚いたように桃子を振り返った。そして桃子の気持ちも知らずに笑った。
「彼女に他に好きな男ができて、結果として俺はフラれたようなものだけど……。ずっと好きだったわけだし、もっとひどく傷つくのかと思っていたんだけど、意外と平気なんだよね。まあ、自分から別れを言い出したっていうのもあるだろうけど。彼女に別に男がいるって分かってから別れの決断を下すのにも迷いはなかったし。何でかなって考えたんだ」
 言葉を切り、貴一は天井を見上げた。まるでそこに答えがあるかというように。
「俺は彼女を好きじゃなかったんだと思う」
 桃子は思わず、貴一がみつめていた天井の一か所を見上げた。
「言い方が悪いかな。好きだったことは確かなんだ。かわいいとも思ったし、社内でみかけるとドキドキもした。仕事以外の話もしたいと思った。でも実際付き合ってみてわかったんだ。俺は彼女のことを何も知らないで外見だけで好きになっていたってこと。彼女を知っていくうちに、魅力的だなとは思ったけど、無理してそういう女性を演じているような感じがあった。彼女自身じゃないというか、俺にあわせようとしていたんじゃないのかな。俺もかっこつけていた部分はあったし。お互いに被っていた猫の皮が剥がれてきたら、何か違うってなって……」
 腕組みをほどいて姿勢を正した貴一は、ジントニックを一気に飲み干し、桃子の正面に向き直った。
「俺、立木が気になる」

テーマ:オリジナル小説
ジャンル:小説・文学

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