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あじろ けい

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なのなのな 7-2


 部屋のインターホンが鳴った。日曜の午後だ、新聞の勧誘か何かだろうと桃子は無視を決め込んだ。そのうち諦めて帰るだろうと思っていたら、ドアの外からフルネームを呼ばれた。慌ててドアを開けると、亮平が立っていた。
「よっ。おっ、なんかよさそうな部屋じゃん」
 ドアの隙間から亮平は部屋の中を覗きこんでいた。すぐに必要なものだけを取り出して、残りは後回しにしてきたので、引っ越して一か月が経とうというのに、部屋にはまだ段ボールが散乱したままだった。
 桃子は後ろ手にドアを閉め、廊下に出た。
「なんで、ここがわかったの?」
「俺んとこのポストにまぎれててさ」
 亮平は通販カタログを差し出した。転送指示として新しい住所が記されていた。
「それと、これ」
 渡された封筒はずしりと重かった。口を開くと、小銭とx円札がx枚入っているのが見えた。
「借金ふみたおすところだった。スーツ代と、コーヒー代、蕎麦屋の勘定で合計xx円であってるよな。ちょっと確かめてよ」
 桃子は封筒から金を取り出し、亮平の目の前で金額を確かめた。金額があっているとわかると亮平は白い歯を見せて笑った。
「スーツ代はいいって」
「受け取っておけよ。もともとそういう話なんだからさ。じゃあな」
 デニムのポケットに両手を入れ、口笛をふきながら亮平はエレベーターホールへとむかった。 
 エレベーターはなかなか来なかった。手持ちぶさた気味に、亮平はあちこちに視線をやっていた。金の入った封筒を手にしたまま、桃子は亮平を見つめて廊下に立ち尽くしていた。
 借金を返してもらった今、ふたりをつなぐものは何もない。もう隣人でもない。エレベーターが来てしまえば、亮平とはこれきりだ。
 手のうちをするりと抜けていきそうになる何かをつかもうと、桃子は一歩前に足を踏み出して、裸足だと気づいた。その時だった。エレベーターが降りてきて、亮平は吸い込まれていった。ドアが閉まる直前、亮平は桃子にむかって手をあげてみせた。
 まだ間に合う。
 弾かれたように桃子は部屋に飛び込み、靴をひっかけた。再び外に飛び出そうとして外出できるような服ではないと気づき、クローゼットにかけこんだ。
 デニムをさがす桃子の目に、白いワンピースがとびこんできた。迷っている暇はない。ワンピースをひっつかむなり、早業で着替え、足元はスニーカーという出で立ちで部屋を飛び出した。

テーマ:オリジナル小説
ジャンル:小説・文学

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