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花嫁の父 1-1

 梅雨入り間近をおもわせる生ぬるい朝を、皇(すめらぎ)拓也と美月龍之介は富士見台総合病院でむかえた。
 ちょうど2時間前の午前6時、スメラギは美月からの電話でたたき起こされた。
「スギさん、大変だ、姉さんが病院に運ばれたっ!」
 感情の乱れなど滅多にみせない美月のいつになく慌てた様子に、スメラギはハリネズミのような白髪頭の寝グセもそのままに、富士見台総合病院にかけつけた。
「スギさんっ」
 手術室の前のひとだかりから、美月がスメラギのもとにかけよってきた。
 美月の姉、岡崎奈美子が病院に運ばれたとあって、美月の父親、奈美子の夫の岡崎と、男ばかりがそろって手術室の前を行ったり来たりしている。
「姉さん、死んだりしないよな?」
 スメラギは素早くあたりを見回した。手術室に来る途中でもさっと目を走らせたが、死神の姿はなかった。
「死にやしないわよ。ちょっとお産の予定が狂っただけ」
 死んだはずの美月の母親がスメラギに話しかけた。
 霊感体質に生まれついたスメラギにだけ、美月の母親の姿がみえ、声が聞こえた。
「あっと、お前のお袋さんが、おたおたすんなって言ってんぜ」
 正確には、美月の母親は、「男なんてこんな時何の役にもたたない」と言ったのだが、スメラギは言葉を濁した。
 妊娠9か月の奈美子は、突然の破水により、急きょ病院へ運ばれた。予定日までまだ日があったが、妊婦の状態から医者は帝王切開に踏み切った。美月の母親が言うように、お産の予定が少し早まっただけなのだが、結婚もしていなければ身近に妊婦のいたことのない美月は、手術と聞いただけで慌てて、幼なじみのスメラギを呼び出してしまっていた。
「母さんが来てるのか! じゃあ、安心だ」
 美月は、糸引く長いため息をついて、やっと笑顔をみせた。
 2時間にわたる手術の後、奈美子は無事、長女を出産した。
「お前もとうとう“おじさん”ってか」
 あくびをかみ殺しながら、スメラギは病院を後にした。
 病院の廊下を歩く人々がスメラギと美月をふりかえる。ふたりとも長身なうえ、人より抜きん出たスメラギの頭は見事な白髪だ。生まれながらの白髪だが、他人からみれば、今時の若者が銀髪に染めているとしかうつらず、そのうえ紫色の丸メガネをかけていて、スメラギはその見た目だけで、どこにいても目だってしまう。
「おじさん、ねえ。実感がわかないけどなあ」
 病院の玄関を出た先の車寄せに、人だかりがあった。ところどころにテレビカメラがみえ、マイクを手にしたリポーターが目立っている。
「なんだー?」
 スメラギが足をとめると、美月もとまってリポーターの群れに目をむけた。
「ああ、今日記者会見をやるとか何とか言ってたから」
「記者会見?」
「ここの病院の医者が亡くなったんだよ。それで―」
「医者だって死ぬだろ? そんなことでいちいち記者会見なんてすんのか?」
「球里(きゅうり)熱と闘ったヒーローだからだよ。何だい、スギさん、何も知らないんだな」

テーマ:オリジナル小説
ジャンル:小説・文学

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