Profile

あじろ けい

Author:あじろ けい

最新記事
カテゴリ
最新コメント
最新トラックバック
参加ランキング


にほんブログ村 小説ブログへ

素材サイト様
和風素材×フリー和柄素材 ネオ ジャポニズム
ホームページ作成用のサイケデリック調の和風素材や和柄素材、浮世絵調のフリー素材やデスクトップ壁紙のサイト
web*citron
シンブルで可愛い素材
十五夜
和素材の宝庫

無料写真素材フリー「花ざかりの森」
日本の森の美に感嘆
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

RSSリンクの表示
リンク
QRコード
QR

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

キャッチアップ 11

「そういうことかよ」
 開口一番、克弥は吐き捨てた。
「そういう事って何」
「ごまかすなよ。他の男と遊んでたんだろ」
 克弥の語気が一層荒くなった。涼子はケータイを耳から遠ざけた。祭りから戻って誠を寝かしつけるなり、克弥に電話をかけた。すぐには繋がらず、夜中近くになってやっと電話に出たかと思ったら、克弥は真っ先に自分の怒りをぶつけてきた。
 会って話そうかと思っていたが、考え直してケータイを手にしてよかったと胸をなでおろした。同じ部屋で寝ている誠を起こさないようにと静かに話そうとする分、冷静でいられる気がする。疲れが出たのか、誠は少し熱を出していた。
「中学の時の同級生だって言ったじゃないの」
 祭りの会場のはずれで出くわした克弥に修一を紹介した時と同じ台詞を繰り返した。言い訳でも何でもなく、修一は元同級生でしかない。
「どうだかな」
「そっちこそ、どうなの? 恵美ちゃんと付き合ってるの?」
 克弥は山谷恵美を連れていた。涼子たちに気づいたのは恵美が先で、声をかけてきたのも恵美だった。涼子は、修一に、学校のクラスメートだと言って二人を紹介した。
「祭りに誘われただけだって。何もないよ」
 どこかで聞いたことのある台詞た。顔色はうかがい知れないが、面と向かって話していたのなら克弥は涼子とは目を合わせようとしなかっただろう。
 浮気を問いただした時、雅弘は誘われて食事に行っただけと言い、あらぬ方向に目をむけていた。はじめのうちこそ関係を否定してみせた雅弘だったが、そのうちに開き直った。
 雅弘の浮気相手は、部下の女だった。雅弘が結婚していると知っていながら雅弘に近づいた。雅弘の主張するように女から誘ってきたのだとしても、断るべきだった。それなのに雅弘は女の誘いを受けた。断ることができなかったのではなく、断らなかった。女を拒否する意思がなかったのだ。その時、涼子は誠を妊娠中だった。
「俺、涼子とのこと、真面目に考えてた――」
 うってかわったように克弥はしんみりとした口調になった。
「真面目にって何」
「涼子の子どものこととかもちゃんと考えてたんだ」
 思わず吹き出しそうになり、涼子は口を押えた。芝居をするならもっとうまくやってもらいたいものだ。
「いつか涼子の子どもにも会いたいって思ってたし。将来のことも俺なりに考えてたんだ」
 克弥は言外に結婚をにおわせた。逃げていきそうな女を引き止めようとして思いついた策だろうが、子持ちの女なら結婚を軽々しくは口にしないだろうと踏んで涼子と付き合っていた克弥にその意思はないだろう。
 バカにしている。今度は怒鳴りつけたい気持ちを抑えようと口を覆った。寝返りをうった拍子にずれた誠の毛布をかけなおす。熱が下がらないようで、誠は苦しそうな寝顔だった。
「将来って結婚するってこと?」
 克弥は返事をごまかした。
「私と結婚するということがどういうことかわかってる? 私の子どもの父親になるってことでもあるのよ。父親になるってどういうことかわかってるの?」
 低く押し殺した声で、涼子は矢継ぎ早にまくしたてた。
「あいつは、わかってるっていうのかよ」
 ふてくされたように克弥がつぶやいた。
「肩車なんかしちゃってさ。仲のいい親子みたいだった。子どもも懐いているみたいだったし」
「彼はただの幼なじみだって何回――」
「父親、父親っていうけどさ、そっちは母親としてどうなの。ちゃんと母親らしいことしてやってんのかよ。朝から晩まで学校通いで、空いた時間は男と遊んでてさ」
 克弥が目の前にいたら頬を張るぐらいはしていただろう。電話を切ってからも胸のむかつきがおさまらなかった。

テーマ:オリジナル小説
ジャンル:小説・文学

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。