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あじろ けい

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キャッチアップ 16

 一回り年上の雅弘とは社内恋愛を経て結婚した。交際にしろ結婚にしろ、積極的だったのは雅弘の方だった。営業部で三十過ぎて独身だった男性社員は雅弘だけだった。
 見た目だけなら雅弘は若く見えた。若作りというのではなく、童顔な造りのせいで、年を聞いた涼子は驚いたものだった。黙っていれば十は若くみえる雅弘は、しかし口を開けばしっかりした話し方に年が垣間見えた。
 付き合っていた間、年齢差は笑い話だった。夢中になっていたテレビ番組が違う、好きなアイドルも聴いていた音楽もお互い知らないものが多かった。涼子が小学生の時には雅弘は大学生になっていたわけで、そう考えると、年齢差が重くのしかかってくる。子どもの頃と大人になった今では年の感じ方が違うと言って、雅弘は数字の年齢差をとやかく言われるのを嫌った。
 雅弘の話題についていけなかったことも多かったが、自分の知らない世界を教えてもらっているという気分で当時の涼子は世代間のギャップを楽しんでいた。年上の男性ならではの包容力があると思っていたのもこの頃だ。実際は涼子を子ども扱いしていただけだと分かるのはもっとずっと後になってからだった。
 今なら、と、独身の友人たちを横目に涼子は考える。分別のついた今なら、雅弘を伴侶になど選びはしない。
 雅弘は考える力の欠けた人間だった。思いやりと言い換えてもいいかもしれない。常に自分の考えが一番だと思い込んでいた。涼子がまだ働いていた結婚当初、共働きだというのに雅弘は一切家事を手伝わなかった。疲れた体にムチうち、夕食の仕度をする涼子にむかって、簡単なものでいいと言う。簡単なものとはいえ、料理の作業そのものはしなくてはならない。涼子の負担はあまり変わらない。それでも、雅弘としては涼子を思いやったつもりなのである。料理しなくてすむよう、外食にしようだとかそういうことには考えがまわらない。
 掃除にしても洗濯にしても同じだった。疲れているだろうからやらなくていいと言うが、だからといって自分が掃除するなり洗濯するなりするわけでもない。結局、涼子がするはめになる。
 そうした小さなことを積み重ねて耐えかねた涼子が腹を立てると、雅弘が逆に腹を立てた。家事を無理強いしているわけでもないのに何の文句があるのかというのだ。自分の立ち位置からしか物を考えられず、決して涼子の立場に立って考えようとはしなかった。
 二人三脚で歩んでいくという考えもなく一人勝手なペースで走る雅弘を追いかけるようにしていた結婚生活だったから、雅弘の浮気がなくてもいずれ離婚という結末をむかえただろう。
 離婚後も、雅弘とは連絡を取っていた。月に一度は誠に会わせて欲しいと言われていたからだが、誠に会いたいという連絡が雅弘から来たことは一度もない。涼子の方から気を利かせてメールで連絡するが、あればいい方の返事は大抵は仕事が忙しいといった内容だった。
 女との付き合いが忙しいのだろう。風の便りに、再婚するような話を聞いていた。女は涼子の一歳下、雅弘にしてももう若くはない。縁を切った人間のことだから何をしようと当人の勝手だが、誠の父親には違いない。
 涼子は誠について簡単に事情を説明したメールを送った。返事は三日後だった。すぐに見舞いに行くとあった。雅弘が誠の病室にやってきたのはそれから三日後だった。

テーマ:オリジナル小説
ジャンル:小説・文学

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