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あじろ けい

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キャッチアップ 29

「学校に戻ったんだな」
 修一の目が涼子の膝の上の教科書をとらえていた。
「勉強、大変なのか」
「そうね、最後の一年だから。でも何とかなりそう」
 恵美からの情報提供で何とか授業と通院とをやりくりできそうだという話を涼子は語って聞かせた。その間中、修一は穏やかな微笑みを浮かべたまま、涼子の話に耳を傾けていた。
 市内を出たバスは、降りる客も乗る客もいないバス停を次々と走り去っていった。スピードに乗ったバスの車体はカーブを曲がるたびに大きく揺れ、そのたびに、乗客の多くが前のシートの背もたれに手をかけてバランスを取っていた。
「ちょっと」
 信号待ちでバスが停車すると、修一は席を立って運転席へとむかった。二言三言言葉を交わし、信号が青に変わる直前に席へと戻ってきた。
「運転が荒いって注意してきたの?」
「小原もそう思った?」
 修一は鼻頭に皺を寄せていた。
「人を乗せているってことを忘れるなって言っておいた」
 修一の忠告が効いたらしく、信号が青に変わった後のバスの走りは穏やかになった。カーブを曲がるたびに膝にあたっていた修一の腿が当たらなくなったので、涼子はほんの少しだけ、修一の真面目さを恨んだ。
「都筑くんの運転するバスはいつもゆったりした走りだったわ。あまり揺れないからバスに乗っているような気がしなかった」
 自分も運転するようになり、隣に誠を乗せている時と一人の時とではまるで運転の仕方が違うと知った。大切な人を乗せている時は、気配りが二倍や三倍は増す。誠は車酔いしやすい方だったから、なおさら、揺れを感じさせないよう、涼子は運転には気をつかった。
 住宅街が近づいてくると、降りる客が多くなった。わずか数十メートルの距離を、バスは走っては停車しを繰り返し、乗客を降ろしていく。乗客の数が少なくなるのとともに修一の口数も重くなっていった。
 修一が口をきいたのは、商店街の少し手前のバス停を過ぎた時だった。そこから住宅街へと走っていくバスは再び商店街近くのバス停へと戻り、そこから涼子が乗り降りするバス停へとむかう。
「相合傘、書いたの、小原か」



明日最終回です。

テーマ:オリジナル小説
ジャンル:小説・文学

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