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あじろ けい

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花嫁の父 3-2

 金曜日の夜とあって、夜景が美しいと評判の展望レストランはカップルで混みあっていた。約束の時間は7時。待ち合わせにはいつも時間通りに来る裕子より先にレストランに到着した水島は、席に案内されるなり、水を注文した。
 やがて運ばれてきたグラスの水をあおると、やっと人心地ついた気がした。裕子に会う前からこんなに緊張していてどうすると、水島は自分を叱りつけた。
プロポーズはデザートの後にする予定だ。何かしゃれたセリフでも言ったほうがいいのだろうかとも思ったが、結局、ストレートに“結婚したい”という意志を伝えることに決めた。
水島はジャケットの内ポケットをさぐって、指輪の存在を確かめた。腕時計をみると7時を少しまわったところだった。顔をあげると、案内されてくる裕子と目があった。萌黄色のワンピースに白いカーディガンを羽織っていた。派手さはないが、楚々とした美しい裕子の姿に、水島は照れてしまって思わず顔を背けてしまった。
前菜もメインも、何を食べても水島は味わってなどいなかった。意識はデザート後のプロポーズに集中していて、やたらとワインを飲み、裕子に飲みすぎるなと注意される始末だった。
 誕生日でもないのにレストランで食事をしようと誘ったのだから、何か勘付いていやしないだろうかと、水島は裕子の顔色を伺うが、裕子はいつものデートと変わらず、食事や窓からの美しい夜景を楽しんでいた。食事の間、裕子はしゃべり続け、水島は上の空で裕子のおしゃべりを聞き、ワイン片手に相槌を打つばかりだった。
 デザートのコーヒーが運ばれ、水島の緊張は頂点に達した。手をつけないままに冷めてしまったコーヒーを一気に飲み干してしまうと、一瞬、裕子のおしゃべりが止まって不思議な間が空いた。すかさず、水島はポケットから指輪を取り出した。
「結婚しよう」
 言葉は息をするようにすんなりと吐き出せた。店内の薄暗い照明のせいで裕子の表情はよくみてとれない。その美しい瞳がキャンドルの明かりに照らされて煌いていた。
「ごめんなさい、私、隆也さんとは結婚できません」
 と言ったなり、裕子は席を立ち、水島を残してその場を走り去った。

テーマ:オリジナル小説
ジャンル:小説・文学

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