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あじろ けい

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花嫁の父 3-3

 裕子はレストランのトイレに駆け込み、個室のドアを勢いよく閉めた。とたんに吐き気がたまらずこみ上げてきて、食べたものをすべて吐き出してしまっていた。
 せっかくのディナーだったが、はじめから味わってなどいなかったし、食べた気もしていなかった。
 誕生日でも何でもないのに、いきなりレストランで食事をしようと誘われた時から、裕子はプロポーズされるのだと勘付いていた。
 行ってみれば、水島はそわそわと落ち着きがなく、いつもはあまり飲まないようにしているワインにやたらと口をつける。相槌を打って裕子の話を聞いているようで、聞いてはいなかった。裕子は、水島はプロポーズをする気なのだと確信した。
 水島とは付き合って10年、学生時代にサークル仲間を通して、当時医大生だった水島と知り合い、はじめのうちは紹介してくれた知人をまじえての友人としての付き合いが、いつの間にか恋人同士になっていた。
 水島は派手な人間ではなかった。見た目も、裕子が作り物みたいねとからかう太い眉のせいもあって、今時のイイ男というわけではない。勉強が忙しいということもあってか、あまり遊び歩かず、裕子としては物足りなく感じることもなくはなかったが、何より一緒にいて安心するし、物事に対する価値観が一致した。好きなものはそれぞれ別にあるが、嫌いなものや事柄が共通していた。
 疎遠になった時期もあったにしろ、付き合って10年。結婚の話が出るには、遅すぎたくらいだ。付き合いが長くなりすぎて、お互い真剣に将来について話をするきっかけをつかめないでいた。
 だからこそ、何でもない機会にレストランでの食事を誘われた時はやっとその気になったのかと、裕子は小躍りしそうなくらいに喜んだのだった。
 だが……
(隆也さんとは結婚できないの……)
 女子トイレの個室に閉じこもり、裕子は泣いた。声をあげ、子どものように泣いて泣きつくした。

テーマ:オリジナル小説
ジャンル:小説・文学

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