Profile

あじろ けい

Author:あじろ けい

最新記事
カテゴリ
最新コメント
最新トラックバック
参加ランキング


にほんブログ村 小説ブログへ

素材サイト様
和風素材×フリー和柄素材 ネオ ジャポニズム
ホームページ作成用のサイケデリック調の和風素材や和柄素材、浮世絵調のフリー素材やデスクトップ壁紙のサイト
web*citron
シンブルで可愛い素材
十五夜
和素材の宝庫

無料写真素材フリー「花ざかりの森」
日本の森の美に感嘆
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

RSSリンクの表示
リンク
QRコード
QR

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

渡せなかった手紙 2-4

 「地獄へ寄っていくか?」
 ―たしか、閻魔王こと夜摩はそう言った。
 だが、閻魔王が死んだ人間の罪業を吟味する閻魔庁を出て、連れて行かれた場所は、東京駅の最深部に横たわるプラットホームだった。
 プラットホーム中央のエスカレーター下には、長身のスメラギが背をかがめるとすっぽり嵌りこんでしまう窪みがあり、禍々しい赤いペンキで「関係者以外立入禁止」と書かれたドアがある。カードリーダーが備え付けてあるが、飾りものに過ぎず、ドアノブをひねって扉を向こう側に押せば誰でも地獄へ行くことができる地上との連絡口だ。
 地獄へ行くものだとばかりおもっていたスメラギが着いた場所は、来たときと同じ、東京駅の地下構内プラットホームだった。
 煮え立つ大釜も、血の池も、針山もなければ、罪人を苛む獄卒の鬼たちの姿も見当たらない。阿鼻叫喚、血しぶきの舞う光景を覚悟してきたスメラギは、拍子抜けしてしまった。
「おい、ほんとにここが地獄なのか?」
「せや」
 真紅のハイヒールブーツの踵をカツカツ鳴らしながら、夜摩は先にたってホームを歩き始めた。
 ホームで電車を待つ人々が夜摩を振り返る。
 豪華な黄金(ブロンド)の巻き毛を揺らし、血の色を彷彿とさせる真っ赤なボディースーツに身を包んだ夜摩は、どうしたって人目をひく。突き出した豊満な胸に、ほっそりとした腰、長い長い脚は、スーパーモデル並みのスタイルの良さだ。
 誰が、地獄の閻魔王だなどとおもうだろう。
 その身を包む真紅のボディースーツは、人の皮を剥いで縫いあわせたもの、赤はまさに人の生血で染めた色、豊満な胸はとある女の罪人から切り取ったものである。
 誰が、そこ行く人が男だなどとおもうだろう。

 通りすがりの視線をその身にまとわりつかせ、夜摩とスメラギは、スメラギがたどってきた道をそのまま逆に、エスカレーターを何層にもわたってのぼっていき、やがて地上へと出た。
 サラリーマンやOLでごったがえす東京駅は、日常の光景だ。
 間違って地上へ戻ってきたのかと思っているスメラギの目の前で、突然、男が悲鳴をあげて倒れた。
 男の胸にはナイフが刺さり、血が噴き出している。とっさに駆け出して助けようとするスメラギを夜摩が止めた。男の胸からは、みるみる血が流れだし、あっという間に広がった血溜まりに男の死体がぽっかり浮かんだ。
 すると、死んだとばかり思われた男が何事もなかったかのように起き上がり、歩き出したではないか。
 傷口も塞がっている。だが、数メートルも歩かないうちに、再び男は悲鳴をあげて倒れた。先ほどと同じ男にまたしても刺されて倒れたのである。そして同じ光景が繰り返された。男は起き上がり、歩き始める。そして刺され、殺される。血黙りに体を横たえたかとおもうと、また起き上がり……。
 気付けば、ビルの谷間で、通りの角で、残虐な行為が繰り広げられていた。
「あの男、通り魔か何かやったんやな」
 やはり、ここは地獄だった。

テーマ:オリジナル小説
ジャンル:小説・文学

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。